カントール集合の濃度は連続体濃度であることの雑な説明

カントール集合の濃度は連続体濃度であることの大雑把な説明

操作n回目で残った各区間は
\[ \Big[始点,\ 始点+{1\over3^n}\Big] \] と表される。\(n \to \infty\)の極限において、区間の幅は0になり、区間に含まれる点は始点のみとなる。 \[ \begin{align} \Big[始点,\ 始点+{1\over3^n}\Big] &\to \Big[始点,\ 始点\Big]\ (n\to\infty) \\ &=\{始点\} \\ \end{align} \] よって、\(n \to \infty\)の極限においてカントール集合は始点のみからなる集合となる。
たとえば、\({2\over3}\)の右側の区間を考えると、 \[ \begin{align} 1回目&\ \Big[{2\over3},1\Big] \\ 2回目&\ \Big[{2\over3},{2\over3}+{1\over3^2}\Big] \\ 3回目&\ \Big[{2\over3},{2\over3}+{1\over3^3}\Big] \\ \vdots& \\ \infty回目&\ \Big[{2\over3},{2\over3}+{1\over3^\infty}\Big]=\Big[{2\over3},{2\over3}\Big] \\ \end{align} \] \(1\over3\)の左側の区間を考えると、 \[ \begin{align} 1回目&\ \Big[0,{1\over3}\Big] \\ 2回目&\ \Big[{2\over3^2},{1\over3}\Big]~~~(終点=始点+{1\over3^2}になっている) \\ 3回目&\ \Big[{2\over3^2}+{2\over3^3},{1\over3}\Big]~~~(終点=始点+{1\over3^3}になっている) \\ \vdots& \\ \infty回目&\ \Big[{2\over3^2}+\cdots+{2\over3^\infty},{1\over3}\Big]=\Big[{1\over3},{1\over3}\Big]~~~(\because 無限等比級数の和)\ (終点=始点+{1\over3^\infty}になっている) \\ \end{align} \] となり、\({2\over3}\)も\({1\over3}\)も\(n\to\infty\)の極限における始点の集合に含まれていることがわかる。
次に始点の個数を考える。操作n回目の始点の個数は\(2^n\)個である。\(n \to \infty\)の極限において、始点の個数は\(2^\infty\)個となる。ただし \(\infty\)は可算無限である。\(2^\infty\)は非負整数のべき集合の個数と同じである。非負整数のべき集合の濃度は連続体濃度である。よって始点の集合の濃度は連続体濃度である。

\(2^\infty\)とか証明では使えないので、実際は各始点を3進表記して、[0,1]との1対1対応をしめさないといけない。(略)

カントール集合は区間内部の点という要素をもたない。カントール集合の非可算性は区間の濃度に拠っているのではなく、始点の集合の濃度に拠っている。そして始点の集合は連続じゃないけど連続体濃度をもつのである。(ちょっとびっくり)