カントール集合はルベーグ可測であることの証明

カントール集合はルベーグ可測であることの証明

区間\([0,1]\)においてカントール集合を\(S\)、余集合を\(S'\)とかく \[ S' = \Big({1\over3},{2\over3}\Big)+\Big({1\over9},{2\over9}\Big)+\Big({7\over9},{8\over9}\Big)+\cdots \] カントール集合\(S\)に区間の始点が非可算無限個あったのと同様に、\(n\to\infty\)の極限において右辺の開集合(開区間)は非可算無限個ある(これには、\((始点,始点)=\varnothing\)も含まれるが、空集合は開かつ閉集合なので開集合とみなしてもよい)。定理102より非可算無限個の開集合であっても、その合併は開集合である。よって\(S'\)は開集合である。116節P.431より開集合はルベーグ可測である。よって\(S'\)はルベーグ可測である、よって\(S'\)の余集合であるカントール集合\(S\)もルベーグ可測となる。
測度は \[ \begin{align} mS' &= \sum_{n=1}^{\infty(可算無限)} {1\over3} \Big({2\over3}\Big)^{(n-1)} = 1~~~\color{red}{※1} \\ \therefore mS&=m[0,1]-mS'~~~(\because ルベーグ測度の定義) \\ &= 1 - 1 = 0 \\ \end{align} \] となる。

注意すべきは、操作n回目のカントール集合の各区間の幅は \({1\over3^n}\)だから\(n\to\infty\)の極限で \[ m(カントール集合の各区間) = {1\over3^n}\to 0\ (n\to\infty) \] よって \[ mS = \sum_{各区間\in S} m(各区間)= \sum_{各区間\in S} 0 = 0 ~~~NG! \] としてはいけないことである。
なぜならカントール集合\(S\)に属する区間は\(n\to\infty\)において非可算無限個あるから、完全加法性を用いてはいけないからである。完全加法性は可算無限個の和についてのみ成立する。非可算無限個の和については成立しない。
可測かどうかについても、区間列(列なので可算無限個)の合併は可測であるが、非可算無限個の区間の合併は可測かどうかわからないのである。

※1 カントール集合の余集合の測度