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ディリクレ関数は有理数で不連続なので、不連続点(特異点)は可算無限個である。と思ってしまうが、どっこい無理数でも不連続なので、不連続点(特異点)は非可算無限個である。
リーマン積分は可算無限個の特異点を許容するが、非可算無限個の特異点は許容しない。ディリクレ関数の特異点の濃度と、リーマン積分できないことは整合している。

完全に加法的

完全に加法的の定義は、108節403頁にある。 \[ \color{blue}{ \sigma 系Mにおける集合函数に関し e =\sum e_n,e_n\in M が単純和なるとき、下記(1)の右辺が確定で \\ \begin{align} f(e) &= \sum f(e_n) \tag{1} \\ \end{align} ならば、f(e)は加法的という. \\ 、、、云々、、、 \\ (1)が無限列に関して成り立つことを強調するためには、'完全に加法的' ともいうが、... } \] "σ系M集合(完全加法族の可測集合)の集合函数について"という条件がついているのに注意。113節の区間列の無限和の話は、Riemann測度でも成立するので、Riemann測度は完全加法的か?と思ってしまうが、Riemann測度は、"あるσ系に属するすべてのM集合"については無限和が成立しない(そもそも定義できないこともある)ので完全加法的ではないのである。区間の例でいえば、有理数1つの集合{0.5}もM集合である。Riemann測度はこの集合に対して定義できない。113節の無限区間列は少し幅をもっているからRiemann測度が定義できたのである。1つか2つ無限和が成立するM集合が存在するだけでは完全とはいえんということらしい。
114節の424頁の頭で \[ \color{blue}{ \text{Riemannの測度が弱い意味でのみ加法的} } \] とあるが、これがまた素人泣かせの文章である。ド素人のワタシは、これを、"Riemann測度は定義できるが、完全加法ではない場合がある"と解釈してしまうのである。そして、そういう例を探して悩むのである。(見つけられませんでした、、、orz) 色々しらべて(ググって)、たぶんここで念頭にあるのはディリクレ関数の積分つまり有理数の集合の測度のことだと見当をつけたが、その場合、完全加法かどうか以前に、"Riemann測度が定義できない"のである。定義できないから完全加法でないと言われればそれまでだが、、、なんだかモヤっとする。 この次の \[ \color{blue}{ \text{集合の無限列を許容することが重要で、} } \] と書かれているところも悩む。Riemann測度でも可算無限個の特異点は許容してるし、可算無限個の区間列に分割できるでないの、、、とか思ってしまう。なので、ここは"単なる無限列"ではなく、"稠密に存在する無限列"を許容することが重要なんじゃないかなと思ってしまうのである。

定理93の[注意]について

定理93の証明の前に[注意]がついているが、ここの論理がわたしら素人にはとてもわかりにくい

\[ \color{blue}{ \text{"} E\{f\ge 0\} \text{ と } E\{f\lt 0\} \text{ を分けてよい。} E \text{において } f(x)\ge0 \text{としてよい"} } \] と書かれているがこれは \[ \begin{align} E\text{ において } f\ge0 \land \text{定理93の仮定} & \to \text{定理93の結論} \tag{1}\\ \swarrow ~~~~&~~~~ \searrow \\ E_1=E\{f\ge 0\} \text{ について定理93が成り立つ}~~~~&~~~~ E_2=E\{f\lt 0\} \text{ について定理93が成り立つ} \tag{2}\\ \searrow ~~~~&~~~~ \swarrow \\ &~~~~\llap{\mbox{定理93}} \tag{3}\\ \end{align} \] という推論によって定理93が証明できることを言っている。\((1)\)の証明は本文に与えられている。\((1)\Rightarrow (2) \)と\((2)\Rightarrow (3)\)の証明は省略されている。自分で確かめないといけない。

\[ \color{blue}{ \text{"} a=0 \text{ として } F(e)\ge0 \text{ を得る ... } F(e)\ge0 \text{ と仮定して証明すればよい"} } \] という部分もわかりにくい。まず、\(F(e){\ge}0\) とは \((\forall e\ e{\subset} E \to F(e){\ge}0)\) のことである。これは、\(\text{仮定}(17)\ (\forall a,b,e\ -\infty{\le} a{\le} b{\le} \infty \land e{\subset} E\{a{\le} f {\le} b\} \to a\mu e{\le} F(e){\le} b\mu e)\) において、\(a{=}0\land b{=}\infty\)としたものである。ここの論理は \[ \begin{align} & A\land (\forall a,b\ p(a,b)) \to B \equiv A\land p(0,\infty)\land (\forall a,b\ p(a,b)) \to B \tag{4} \\ \end{align} \] なので、\((\forall e\ e\in E \to F(e)\ge0)\)という仮定を追加して証明すればよいということである。 なお、この \(F(e)\ge0\) という仮定は、[証明]で使われてないので?となるが、これは[注意]の中の \(\mu e_\infty {\gt} 0 \ \mbox{の場合}\ F(E){=}\infty \) を証明するときに使われている。 \[ \color{blue}{ \text{"} \mu e_\infty {\gt} 0 \text{ の場合 ... } \mu e_\infty {=} 0 \text{ の場合 ... "} } \] という部分の論理は、 \[ \begin{align} &C\lor D\ が真のとき \\ &A\to B \equiv A\land(C\lor D)\to B \\ &\hphantom{A\to B} \equiv (A\land C)\lor (A\land D)\to B \\ &\hphantom{A\to B} \equiv (A\land C\to B) \land (A\land D\to B) \\ \end{align} \] なので、\((\mu e_\infty {\gt} 0 \lor \mu e_\infty {=} 0)\equiv\text{真}\) であることより、 \[ (\mu e_\infty {=} 0 \land \text{定理93の仮定} \to \text{定理93の結論}) \land (\mu e_\infty {\gt} 0 \land \text{定理93の仮定} \to \text{定理93の結論}) \] を証明すればよいということである。\((\mu e_\infty {\gt} 0 \land \text{定理93の仮定} \to \text{定理93の結論})\)は、[注意]の中で証明されているので \[ (\mu e_\infty {=} 0 \land \text{定理93の仮定} \to \text{定理93の結論}) \] だけ証明できればよい。これより、\(\mu e_\infty {=} 0\) を仮定に追加することになる。本文で \[ \color{blue}{ \text{"よって } \mu e_\infty {=} 0 \text{ としてよい"} } \] と書かれているのはこのことを指している。 \[ \color{blue}{ \text{"} a{=}\infty \text{ とすれば } F(e_\infty){=}0 \text{ を得る"} } \] これは、 \(\text{仮定}(17)\ (\forall a,b,e\ -\infty {\le} a {\le} b {\le} \infty \land e{\in}E\{a{\le}f{\le}b\} \to a\mu e{\le} F(e){\le} b\mu e)\) において、\(a{=}\infty\land b{=}\infty\land e{=}e_\infty\) とすると、 \(F(e_\infty){=}0\) となることを言っている。なので、上の \((4)\) と同様の論理によって、 \(F(e_\infty){=}0\) を仮定に付け加えてよいことになる。 \[ \color{blue}{ \text{"}-\infty{\lt}a{\le}b{\lt}\infty \text{ なる }a,b \text{ に関して}(17)\text{を仮定すれば、定理は成り立つ"} } \] ここで、仮定\((17)\) の条件 \(-\infty{\le}a{\le}b{\le}\infty\) が \(-\infty{\lt}a{\le}b{\lt}\infty\) と緩められている。緩めているのは、 \(a,b\) がそれぞれ \(\pm\infty\) を取った場合の仮定\((17)\)が他の仮定から導かれるからである。が、その辺の詳細は省略されている。自分で確認しないといけない。
ここで仮定を緩める(仮定を減らす)論理は、 \[ \begin{align} &A\to B\ が真のとき \\ &A\land B\to C \equiv A\land(A\to B)\to C \\ &\hphantom{A\land B\to C} \equiv A\to C \\ \end{align} \] である。なお同じ論理を使って仮定を増やすこともできる。
以上、増やした仮定、減らした仮定をかき集めて \[ \color{blue}{ \begin{align} &\text{"}f(x){\ge}0,F(e){\ge}0,\mu e_\infty{=}0, F(e_\infty){=}0 \text{ と仮定して証明すればよい} \\ &\text{この仮定の下においては、}{-}\infty{\lt}a{\le}b{\lt}\infty\text{ なる }a,b \text{ に関して(17)を仮定すれば定理は成り立つ。"} \end{align} } \] ということになる。この後[証明]がつづくが、[証明]では特にややこしい論理は使われていない。

定理93

定理93を論理式にすると
\[ \begin{align} &\forall\mu,E\ (\mbox{\(\mu\)は測度}\land\mbox{\(E\)はM集合}\land\mu E \ne \infty \to \\ &~~~\forall f,F\ (\mbox{\(f\)はM函数} \land \mbox{\(F\)は加法的集合函数} \to \\ &~~~~~~\forall a,b\ (\mbox{\(a,b\)は実数}\land -\infty \leq a \leq b \leq \infty\ \to \\ &~~~~~~~~~(\forall e\ \mbox{\(e\)はM集合}\land e \subset E\{a\leq f \leq b\} \to (a\mu e \leq F(e) \leq b\mu e)) \tag{17}\\ &~~~~~~) \\ &~~~~~~\to F(E) = \int_E f\,d\mu \tag{B}\\ &~~~) \\ &) \end{align} \] 定理の本体は、(17) ⇒ (B) の部分である。日本語に翻訳すると
"Fが領域の至る所で平均値の性質を満たすならばFは積分に等しい"
となる。定理93はFについての定理である。

"\(\to\)" がネストしてると非常にわかりにくいのでちょっと整理してみると \[ \begin{align} \forall\mu,E,f,F\ \ & \mu E \ne \infty \land (\forall a,b,e\ -\infty \leq a \leq b \leq \infty \land e \subset E\{a\leq f \leq b\} \to a\mu e \leq F(e) \leq b\mu e ) \\ &\to F(E) = \int_E f\,d\mu \\ \end{align} \] となる。ただし \(\mbox{\(\mu\)は測度},\ \mbox{\(E\)はM集合},\cdots\) などは省略した。また \(A\to(B\to C) \equiv A\land B \to C\) (条件部をまとめる) と \(\forall x\ f(x) \land (\forall y\ g(x,y)) \equiv \forall x,y\ f(x) \land g(x,y) \) (量化子を冠頭にまとめる)を使った。\(a,b,e\)はグローバルスコープにもできるが、局所スコープのままのほうがわかりやすい。また、"\(\to\)" のネストが1つ残っているが、\((A\to B)\to C\)という形は"\(\to\)"を1つに簡略化できないので仕方がない。

定理93が読みにくい

定理93が非常に読みにくい。なんでかなと考えてみた。たぶん二階述語論理ってのに慣れてないせいだと思う。この定理はメタ変数としてf(x)とE{何らかのxの集合}を考え、また、メタ関数としてF(e)と"積分S(e,f)"を考えて、これらを対象とした命題になっている。量化子で縛られるのはメタ変数、メタ関数である。∀E,f,F,μとか。これを変数x、関数f(x)を対象とした一階の定理として捉えようとするからわけがわからなくなる。

ようするに、xとf(x)についての定理ではなく、E,f,F,μについての定理だということ

\(\mu e \to 0 \) とは?

\(\mu e \to 0 \) という表記がでてくるが意味がわからない。集合の極限は、集合列の極限でしか定義されていないし、測度の極限も集合列についてしか意味がないはず、\(\mu e_n \to 0 \) とか 。 \(e \to e_0\) で \(\mu e \to 0\) 集合 \(e_0\) の \(\delta 近傍\)?ww
ほんとにわからない。とりあえず、 \(\mu e_n \to 0\) となる任意の集合列 \(\{e_n\}\) という意味だと解釈することにする。(それだと普通に \(\mu e_n \to 0\) と表記すればよさそうだが)

特異関数は特異測度のこと

特異関数の定義の意味がわからん。教科書の定義とWikiの定義が違う、、、

(追記)たぶん教科書で特異関数といってるのは特異測度のこと。たんに絶対連続といっているのは測度の絶対連続のこと、ルベーグの分離といってるのはルベーグの分解定理のこと。

意味はまだよくわからんけど、絶対連続は平行な測度で特異測度は直交する測度というベクトルっぽい意味になるらしいということでとりあえず納得することにする

ルベーグ積分

ふつうの積分の文脈 : 体積の定義された実数区間において積分可能な関数を積分する
ルベーグ積分の文脈 : 測度の与えられた可測集合において可測関数を積分する。


体積とか実数区間は自明であり、ふつうの実数関数はだいたい積分可能なので、ふつうの積分はすぐに積分の定義から説明が始まる。いっぽうルベーグ積分は、測度、可測集合、可測関数について定義とか定理が延々とつづいたあとでちょろっと積分が定義される。